うけとめて(★)(和愁)

 虎石が根は割と繊細な事は知っているが、それにしたって今回は相当だな、と虎石の余裕のない表情を見ながら考える。だがそれはすぐ脳内を駆け巡る快感で塗り潰された。
 ゆっくり突き上げられながら、自分を見つめるグレーの瞳を覗き込む。当たり前だが、こいつの目には俺しか映っていない。
 腕を伸ばして背中に手を回してやると、甘えるように身を寄せられた。
 耳元で何度も名前を呼ばれるのであやすように背中を叩いてやると、ベッドと俺の体の間に手を滑り込ませて強く抱き締めてきた。密着する体温に僅かな安心感を覚えて俺は目を閉じた。
 何があった、とは聞かない。聞いてやらない。ただこうして受け止めてやればそのうち大人しくなって、明日になればけろっとしているだろうから。
 虎石の肩に小さく爪を食い込ませてやると、皮膚に僅かな赤が咲いた。それを見て思わず笑みを深める。
 今は、思う存分俺だけを抱いていればいい。

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