※シャア帰還後ifでシャアシャリかつエグシャリ
※ウルトラご都合happy時空、本編の3〜5年後くらい
※じくあ時空ガルマの捏造がある
◆◆◆
若い。
そんな事を思いながら、貸しているバスローブから覗くエグザべの上半身をシャリアがしげしげと眺めていると、エグザべから困惑と羞恥の念を感じた。と同時に、「あの」とエグザべの正に当惑しきったような声が頭上から降ってきた。
「何か付いてます……?」
「いえいえ、そんなことは。パイロットに相応しい、良い体をしているなと」
事実エグザべの体は美しかった。
程よく筋肉の付いたしなやかな体は、彼が除隊後もパイロットとしての鍛錬を怠っていないことを示している。それでいてきめ細やかな肌は滑らかで、旧世紀における若き戦士を象った大理石の彫刻を思わせた。
ベッドに横たわりエグザべを見上げながら、シャリアは笑う。
「君がまだその肉体を維持してくれていることは、元上官として喜ばしい限りです」
「ッ……体目当てみたいなこと言わないでください、僕のこと好きなくせに」
「おや」
エグザべの反撃に、シャリアは思わず肩を揺らした。
「言うようになりましたねえ」
「誰のせいですか」
生意気な口を叩きながらも、その顔は真っ赤である。大方、かつての上官であるシャリアに「しごかれた」日々を思い出し、同時にそんな日々の中で自分が上官である筈のシャリアに恋慕を抱いた挙句、「目的を果たした」シャリアが退役する日に一世一代の告白をした事でも思い出しているのだろう。
既にジオンの政権はザビ家に無い。ジオン共和国となったサイド3において、シャリア・ブルとシャア・アズナブルは政情の安定後は世間からその身を隠すことを選択した。そして彼らの行方を知るのは彼らから個人的な信頼を得ているごく一部の者であり、その中にはエグザべも含まれていたのだった。
それから程なくしてエグザべも軍を辞めて、フォン・ブラウンに拠点を置く民間企業に就職した。以来エグザべは度々シャアとシャリアが暮らすこの小さな屋敷を訪れていた。
シャリアを見下ろしながら、ぽつりとエグザべは呟いた。
「……今日はあの人いないんですよね」
「ええ、地球のご友人に会いに行っておられます」
「じゃあ貴方を独占出来る」
「おや、悪い顔だ」
「あの人のことは嫌いじゃないですけど、時々僕に見せ付けてくるのは嫌なので。今回くらいは独占させてください」
そう言って、エグザべはシャリアの上に乗り上げた。若さ故の獣性を秘めた目がひどく愛おしく思え、シャリアは「いいですよ」と薄く笑いながらまだ肩に引っ掛かっているエグザべのバスローブに手をかけた。
「私は、あの方と君の物ですから。君に私をどうこうする権利は大いにある」
「……それを言うなら僕だってあの人だって、貴方の物ですよ」
エグザべの腕からするりとバスローブを落としてしまえば、その肉体が顕になる。これから己を抱く若い雄のしなやかな肉体にシャリアは指を這わせた。触れられたエグザべは小さく体を震わせる。
「今日は君だけですが、満足させてくれますか?」
「ッ……あの人がいなくても満足させてあげますよ」
エグザべの口から僅かに犬歯が覗く。その鋭い歯が己の肌を突き破り赤い血を滴らせる様を想像し、シャリアは小さく喉を鳴らした。
◆◆◆
一方その頃地球。
旧友のガルマ(事実上の亡命中)と楽しく食事中であったシャアが、きゅぴぴんと何かを受信したかのように空を見上げた。
「む、シャリアがあの男にうつつを抜かしている気がする」
「どうしたシャア、何か悪い予感でもするのか」
「……いや良いのだ、私のマヴが別の男と寝ている気がするが私も認めた男だからな」
「……君、恋人となんだかとても不健全な付き合いをしているんじゃないのか?」
「三人交際など今どき不健全でもなかろう」
「三人交際???!?!!??!」
◆◆◆
このifの軽い設定
シャア
三人交際をやろうと言い出した張本人。
刻を見て異なる時空の己の顛末を知ったことで、帰還後に革命ぶち上げてジオンを共和制に転換させた後はシャリア共々雲隠れを選択した。
シャリアは私の父であり母であり恋人になってくれた男。
エグザべの事も大いに気に入っている。自分に少し生意気なところが特に。年も近く、故郷も家族もないという点にかつての己とシンパシーを感じるので気の置けない関係になりつつある。それはそれとしてシャリアと自分の仲を見せ付けまくるのは楽しい。
本名と顔はシャリアは勿論エグザベにも公開済。
地球にいるアルテイシアとは連絡を取り合っているが、三人交際をしていることを口を滑らせた際の「何言ってんだこの馬鹿兄」みたいな視線が若干トラウマ。でもアルテイシアは一応分かってくれたし三人交際はやめない。三人交際がどうと言うよりアルテイシアに見下されるのがトラウマ。
最近の趣味は家庭菜園。
シャリア
エグザべの好意と告白を有り難く思いながらも自分には既にあの人が……この子の将来のためにも……とはっきり断ろうとしたら近くで聞いてたシャアが割り込んで三人交際を提案してきたので大混乱のまま流されて現在に至る。
そもそもこの人がエグザべの事もちゃんと好きであることをシャアが勘で察したがゆえの三人交際だったりする。
若くて綺麗な男二人が自分を求めているのに悪い気はしないが、根が常識人なので彼らの人生に自分がいることが少し申し訳なくなる瞬間がある。そして毎回それを察した若者二人に分からせられるというループ。
退役後はとあるコロニーでシャアと共に慎ましく暮らしている。収入源は資産運用。
まだアラフォーなのにほとんど自分の人生上がったような気分でいる。
最近の趣味は料理と日曜大工。
エグザべ
公国軍時代からシャリアへの片思いを募らせ、シャリアが退役するその日に一世一代の告白したらなんか近くで聞いてた赤い人に三人交際を提案され、どんな形でも恋人になれるならと不承不承提案を飲んだ。
その際の不承不承顔がシャアの好みにぶっ刺さっていることは知る由もない。
現在は軍を辞めて月面都市フォン・ブラウンの民間MS製造企業で専属テストパイロットとして働いている。
フォン・ブラウンとシャア&シャリアが暮らすコロニーは往復二日掛かるので彼らに会えるのは月に一度か二度。もっと近くに転勤したい。
シャアは同じ人を愛する同志でありライバルであり、そして口には出さないが人としては割と好き。(シャリアにはバレてる)
軍にいるコモリとは友人同士で度々連絡を取り合っており、コモリも事情は知っているのでエグザべを応援している。
ガルマ
地球で暮らしている。
軍を辞めイセリナと結婚して地球で慎ましく暮らしていたらいつの間にかザビ家が倒れてジオンが共和制になったので、事実上の亡命扱いになっている。
シャアの三人交際COにはちょっと引いたが、まあ友が幸せなら……いやいいのか……? 本当に……? でも幸せそうだし……幸せの形は人それぞれだし……
アルテイシア(セイラさん)
シャア(キャスバル)の生き別れの妹であり伝説の連邦軍のニュータイプ。今は除隊して地球にて資産運用で生活している。
兄とは完全に縁を切るつもりだったが、帰還後に会った兄の憑き物が取れたような顔を見て拍子抜けし、以来度々連絡を取り合っている。
三人交際COをされた時は素直に引いた。でも多分依存先が二人以上ないと絶対何かやらかすのよねこの兄……と思ったので受け入れた。
多分シャリアには会ったことがあるし、「兄が何かやらかしたら刺してでも止めてください」って言う。
全体的に軽い感じで書きましたが、シャア・シャリア・エグザべという帰る場所が自分の愛する人の隣しかない男三人の共依存三人交際です。三人ともそのことは承知してるし、互いに幸せだからまあこれでいいかという状態。そのうちセイラさんが絡むやつも書きたいですが本編の展開によるかもしれない。