気付くのが遅すぎて(再録)(リンク→アリス)

 ちょっとは変われるかな、って思ったんだけど。
あーあ。
慣れないことはするもんじゃないね。
……まあ、後悔なんてしてないけど。出来るはずもないけど。
結局のところ、僕はずっと独りぼっちでいろってことなのかも知れない。
こんなだだっ広い空間……いや、人間の感覚で測ることなんて到底出来そうのない底のない闇の中のような空間で、独りぼっち。 ああでも、ウ゛ォルトもこの空間に放り込まれたんだっけ。じゃあここにいるのは僕だけじゃないってことだ。
……こんなところで見つけられるかどうか、って問題もあるけど。
「ま、出会うまでのお楽しみ、ってことで」
何となく呟いてみたけど、声は空間に吸い込まれてあっという間に消える。
……はは。
これじゃ僕、完全に独りぼっちだ。
「今まで散々何かから逃げて、色んな人を傷つけてきた罰、なのかな」
誰かに聞いてもらえる訳でもないけど、呟いてみる。
罰を受けるよりは償いをしたい。そう思うのは我が儘なのかな。その償いと罰がもしイコールで結ばれるっていうなら、罰も喜んで受けるけど。
でも、多分これは違う。
アイツは優しいから、僕がこうなったと知ったらきっと悲しむ。それって、償いって言わないんじゃないかな。
……やだなあ、そんなの。
これじゃまるで、僕が償いのためにアレをアイツに託して死んだみたいじゃないか。
そんなんじゃないのに。
心臓は動いてる。僕という存在は、僕の意識は確かにここにあるのに――僕はデス次元の中で確かに生きてるのに。
もう会えないってだけで向こうに死んだって思われるなんて。
どうすりゃいいんだよ。
罪を償うことすら出来ないっていうのかよ。
僕は二度とアイツに会えないのか? 会って、一言謝ることも許されないっていうのか?
アイツはこの先一生、僕がこうなったことを背負って生きていくっていうのか?
そんなのってないよ。
僕一人が罰を受けるならまだしも、アイツは何も悪いことしてないじゃないか。
……そんなことを思っても、どうにかなるわけじゃないけど。
でも、ここから出たい。
出て、一言でもいい。アイツに会って、話したい。もしもそれが許されるっていうなら。
どちらにしろ、ずっとここにいたらいずれ僕は死ぬ。この空間の時間じゃない……僕の身体の時間にがたが来る。
きっとその瞬間まで、僕はアンタのことを考えているんだろうね。
喧嘩したその後に、「何で喧嘩したんだろう」って後悔するそこら辺の子供みたいに。
  ……ホント。
何で僕はこう、気付くのが遅いんだろう。
いつも自分の為だけに生きてきたくせにいつの間にか、こんなにも別の誰かのことが大切になっていた、ってことに今更気付くなんて。
馬鹿だよな、ホントに。
もっと早く気付いていればよかった。

 ――僕のことを、ああやって真正面から見て真剣に叱ってくれたのはアイツだけだった。

 僕はそれが、ホントは嬉しかったのに。

「……ごめん」
ごめんなさいもありがとうも、アンタに言えそうにないや。
勝手に騙して勝手に反省したくせに謝ることも出来ないこんな大馬鹿で、ホントにごめん。

出来ることならもう一度、アンタのシチューが食べたいな。

……アリス。

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リアルタイム放送時に書きました。
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