ハロウィンソサエティ設定なので
雨竜→ドラキュラ
竜弦→モンスターをハントする人
です。
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「……ここにいたか」
がさがさと葉を踏む音の後、月の光が人の形をしたシルエットに遮られる。太い木の幹に凭れて座っていた雨竜は、自分の前に姿を現した人物の顔を見るなり露骨に舌打ちをした。竜弦はそれに顔を顰めると唇を歪める。
「相も変わらずドラキュラを名乗りながら血が飲めないなどという醜態を晒しているらしいな?」
「……あんたこそ、モンスターハンターを名乗っている割に全くモンスターを狩っていないらしいじゃないか」
「ふん、口だけは達者と来たか」
雨竜は振らつきそうになるのを堪えながら立ち上がると「……何の用だ」と竜弦を睨んだ。吸血鬼のため夜目が効く雨竜は何もしなくとも月を背に立つ竜弦の顔がよく見える。それでなくとも白と鈍い銀を基調とした服は夜の中にぼんやり浮かんでよく見える。
(悔しいが服のセンスは認めざるを得ない……)
ややずれた感想を抱きながら雨竜は手の内の滅却師十字を握り、
「させると思うか?」
「っ!」
意識を十字に向けた一瞬の間に竜弦は雨竜の半歩圏内にまで間合いを詰め、細い鎖に飾られた右手首を掴み木の幹に押し付けた。覆い被さるようにして見下ろす温度のない視線に体の芯を射抜かれ、雨竜は身動きが取れなくなる。
狩られる。
生物としての本能と理性が同時にそう告げた。
「無様だな。お前は本来であれば生態系の頂点に立ち得る存在だが、ここで私が少し気紛れを起こせば簡単に私に捕食される側となる」
「自分の矜恃を捨ててまで生態系の頂点とやらに立つ気はない」
竜弦の視線を撥ね付けるように睨みながらそう答えると、竜弦は大きくため息をついた。
「……だからお前は馬鹿だと言うんだ」
竜弦は舌打ちをすると、雨竜の手を離す。突然解放され、右手首のじんじんとした痛みに顔を顰めながらも「どういうつもりだ」と声を上げると、竜弦は「ふん」と鼻を鳴らした。
「興が醒めた。お前を狩ったところで得る物など何も無い」
「な……!」
命を見逃されたのと同時に真正面から馬鹿にされ、雨竜は半ば怒りに任せて手の内に顕現させた銀嶺弧雀を竜弦に向けて射る。しかし竜弦は軽く身を反らすだけで躱し、ひょいと懐から何かを放った。銀色の瓶が雨竜の足元に転がる。
「吸血鬼の吸血衝動を高める薬だ。私を倒したければそれでも飲んでから掛かってこい。返り討ちにしてやるがな」
「くっ……!」
明確な挑発に、雨竜は歯を食いしばる。竜弦はそんな雨竜を冷たく一瞥した一瞬の後、雨竜の目にすら追えないスピードで何処かへ消えて行った。
***
「ああもう、本当に腹が立つ、竜弦の奴!僕が誇りを持って血を吸わない事にしていると言うのに馬鹿にして……!」
そして雨竜は一通りを一護に話して肩を怒らせた。その手には件の薬と思われる瓶がぎゅっと握られ、日頃は白い肌が怒りで僅かに朱を帯びている。これは相当だな、と思いながら一護は「おーおー」と聞き流す。
「次会ったら神聖滅矢ごとこの瓶をあいつに叩き込んでやる……!」
「うーーーーん……」
──やり方めちゃめちゃ遠回りだけどさ。
──親父さん、もしかしてお前の貧血の事心配してんじゃねえの?
……などとは、口が裂けても言えないフランケン一護なのであった。
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ギャグ時空だから深刻にはならないけど息子がモンスターで父親がハンターって下手したら本編より業レベル高いのでは……?