※BEYONDの春日井さんと操がスパロボUXをやっている謎時空
※CPではないつもりですが生産ラインが甲操と同一です
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海神島・喫茶「楽園」二号店。
入口に「CLOSE」の札が掛けられた店の中で、店主の春日井甲洋はカウンターに座り3DSの画面を見詰めていた。その長い指先は器用に動いてボタンを操作している。
やがて甲洋は3DSの画面から顔を上げるとまず店の外に視線をやり、軒先で猫達と戯れている少年を見た。そして深々と溜息を吐き出した。
「……はあ〜っ……」
するとすぐさまその少年……来主操が顔を上げてばたばたと店内に駆け込んで来た。
「どーしたの、甲洋!」
何も考えてなさそうな顔してるな、と思いながら甲洋は島の女性達から「儚い」「美しい」「国宝指定級」と評される淡い笑顔を浮かべた。
「いや……前の来主っていい子だったんだなって……」
「あ、甲洋スパロボやってたんだ! でしょ! 前の僕可愛いでしょ?」
「前の来主は可愛いし素直でいい子だよね、援護した時に後でプリンちょうだいとか言わなさそうだし……」
「何だよそれー! 僕だって可愛いだろ!」
ばたばたと両手を振り回す操(二代目)に、甲洋は淡々と返す。
「君が可愛くないのはそういうところ」
「何だよ、甲洋だって昔の方が素直で可愛いじゃんか!」
「ははは、うるさいよ」
「終盤で正式参戦してからも静かだし!」
「喋れないだけだからな、そっちに関しては」
操を適当にあしらって進行中のマップをセーブする甲洋は、中断セーブ会話をきっちり全部見てから、3DSを閉じた。一方操は「そっか」と両手を下ろした。
「あの甲洋とちゃんと喋れるの、前の僕か美羽しかいないもんね」
「そういうこと」
***
「来主、何をしてるんだ?」
エルシャンクの格納庫でマークフィアーを見上げている操に、総士が声を掛ける。操はフィアーを見上げたまま答えた。
「お話してたんだよ、彼と」
「甲洋と……?」
操につられて総士もフィアーを見上げる。ふと何かに気付いたのか、操は総士とフィアーを交互に見て、首を傾げた。
「総士は彼の声、少ししか聞こえないんだね」
「……そうだな。僕に分かるのは、甲洋の持つ意思の漠然とした形だけだ」
「そっか……総司には、少ししか聞こえないんだ」
「ここでは君だけだろうな、甲洋と会話が出来るのは」
「……彼は、これでいいって思ってるみたいだけど。でも俺は、彼にもっと沢山、みんなとお話をして欲しいんだ。なんでだろう」
「さて、どうしてだろうな」
総士のどこか愉快そうな口ぶりに、操は頬を膨らませた。
「総士、ずるいよ。どういうことなの? 俺が彼と仲良くなりたいからって」
「いつか分かるさ」
フィアーと操を交互に見て、総士は苦笑する。二人の間に流れる言葉の漠然とした形だけを感じながら。
「きっと甲洋も、嫌じゃないと思うぞ」
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UX買った動機の一つが初代操だったりします。