夏野菜パスタと鶏むね肉のハーブソテー
「昼食が出来たが食べるかね?」
「え、はい?」
読んでいた本から顔をあげると、ゴルドルフ所長がアロハシャツ姿の上にエプロンという出で立ちで私の前に立っていた。
「貴様はサーヴァントになったといえど育ち盛りの子供なのだろう、その……なんだ? 準サーヴァントと言ったか。食は資本、ちゃんと食べなさいよ」
「あ、ありがとうございます……では、いただきます」
所長さんがキッチンの方に向かっていると思ったら、昼食を作っていたのか。
「まだ死んでいないサーヴァントなら死因もなにもないから大丈夫だろうが、何か食べられないものはあるかね?」
「大丈夫です、苦手なものやアレルギーはないので」
「そうかそうか。では持って来よう」
そうして所長さんがカートに乗せて持ってきたのは、大きなお皿に盛られたパスタと取り分け用の皿にトング。パスタには見たところトマトや夏野菜が盛られている。それから鶏肉の……ハーブソテー?
「ふふん、女子ならばカロリーも気にするかもされないがね。大事なのは栄養バランスだよ君ィ。野菜も肉もちゃんと食べなさいね」
栄養バランスかあ。《秋葉原》にいた頃は基本的に完全栄養食で済ませていたから、逆に考える機会はなかったかもしれない。
それが準サーヴァントになってから三食を食堂で取ることも多くなって……栄養バランスを私が気にしなくても周りが気にするのだから、不思議な話だ。サーヴァントの方が本来栄養バランスを考えなくていい筈なのだけれど。
所長さんの作った夏野菜パスタと鶏肉のハーブソテーはとても美味しかった。その感想を素直に伝えると、所長さんはとても得意げに胸を張る。
所長は可愛い、とマスターが時々言うが、その意味が分かったような気がした。