タグ: カルデア小話

カルデア小話「アスクレピオス曰く、医務室にやたら詳しい奴がいる」

「やあ!僕は通りすがりのただの羊飼い。君がこのカルデアに新しく召喚されたという医者の英霊だね?これでようやくサンソン君の胃痛も軽減されるというわけだ。ああ、仮眠用の寝袋はそこのベッドの下に置いてあるよ。あのキャビネットの中は湿気りにくいからお菓子ボックスにするといい。医務室と言えど夜は冷え込むからね、暖房はしっかり付けることだ。給湯室まで行くのが面倒だったらポットがあるよ。エネルギーはテスラ君がなんとかしてくれるから気にせずともいい。それじゃあ良きカルデアライフを!あっそうそう予備に置いてる緑のパイプ椅子開く時ちょっと変な音するけど気にしなくて大丈夫だよ、壊れたらエミヤ君を呼ぶといい!」
 ……などと一方的に捲し立てて、その自称ただの羊飼いのサーヴァントは颯爽と僕の前から姿を消した。なんなんだ、あいつ。

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アスクレピオス、好きです

カルデア小話「蒼がよく似合うその人は」(美遊とアストライア)

 その人をカルデアで初めて見た時、美遊は言葉を失った。
 華やかな容貌と美しい蒼を身にまとったその人は、確かに美遊に「エーデルフェルト」の姓をくれた人とよく似ていた。
 擬似サーヴァント、という在り方は聞いている。
 本来であれば召喚不可能な神霊や召喚困難な英霊が、人間を依代にサーヴァントとして現界するグランドオーダー時の特例。
 ならばきっとあの人も、依代として何らかの神性に選ばれたのだろう。
 そう頭では理解していても、駆け寄りたいと思ってしまっても、足は動かなかった。
 その人はマスターにカルデアを案内されているようで、廊下の向こう側から歩いて来る。
 何か。何かのアクションを起こさなくては。そう思えど、何を言うべきなのかが分からない。確かに肉体はあの人なのだろう、それでもきっと、多くの擬似サーヴァントがそうであるように、主人格はどこかの神様な筈で、自分の事など歯牙にもかけない存在であってもおかしくはなくて、そう思うと足が竦んで、
「……あら?貴女……」
「っ!」
 あの人にそっくりなサーヴァントが、こちらに向かって歩いて来た。このまま立ち竦んでいてはいけない、と、ぐっと胸の前で手を握る。
「ふふ、そう緊張なさらなくてもよろしくてよ、貴女はどちらの英霊なのかしら?」
 優美なその笑みは、やはり自分のよく知るあの人にそっくりだった。
 美遊は意を決して、口を開く。
「……私の名前は、美遊・エーデルフェルトです。サーヴァント、ですけど。英霊ではありません。様々な奇跡と偶然が重なって、このカルデアにサーヴァントとして召喚されました」
「エーデルフェルト……」
 目を見開いて、姓を呟いた後にその人は笑った。 
「ああ、成程。あなたは、私の身体の縁者なのですね。万華鏡のように重なり煌めくどこかの時空で、この少女と貴女はとても奇跡的な出会いをしたのでしょう」
「……はい。奇跡、だったと思います」
 私の初めての友達になってくれたのはイリヤだけど。居場所とやるべき事を与えてくれたのは、あの人なのだ。
「ふふ。ええ、きっとそうなのでしょう。……ああ、申し訳ありませんわね。私としたことが、名乗るのを忘れていましたわ」
 その人はスカートをつまむと、優雅に一礼した。
「我が名は、女神アストライア。レディ・ジャスティス、正義を司る女神ですの」
「……よろしくお願いします、女神アストライア」
 女神アストライア。
 その姿はおとめ座に、その秤はてんびん座として存在を知られる、古代ギリシアの女神。あの人にぴったりだ。
「今度お茶でもしましょう、ミユ。貴女の入れる紅茶は悪くない……そんな気がしますのよ」
「はい。是非、ご一緒させてください」
 女神アストライアは、優雅に華麗にスカートを翻すと美遊の前から去っていった。その後を慌ててマスターが追い掛けている。
 女神様になっても、あの人らしさは損なわれること無く一層輝きを増しているように見える。であればあの人のように我儘で勝気な所もあるだろうし、他のサーヴァントの方達とトラブルにならないかどうかは少し心配だ。例えばイシュタルさんとか、イシュタルさんとか、イシュタルさんとか。
「……イリヤとクロに報告しなくちゃ」
 二人ともすぐ知る事になるだろうけど、美遊は足早に二人を探し始めた。
 いつもより頬が緩んでいることをクロにからかわれ、イリヤに微笑ましい目で見られるのは、それから数分後の事になる。
 
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プリヤでのルヴィアさんと美遊の義姉妹関係が大好きなのと、ルヴィアさんの隠れファンなのでアストライア実装でリアルにガッツポーズしました。ありがとう事件簿コラボ。
今後のイベントでちょっとでも美遊とアストライアが絡んでくれたら泣いて喜ぶと思います。

カルデア小話「復活祭」

 色とりどりに飾られた卵が、カルデアのあちこちに置かれている。
 壁にはうさぎや花の飾りが掛けられ、主を信じる者達が祈りを捧げ、子供達は着飾ってパレードやお茶会に興じている。
「なるほど、今日はイースター……復活祭か」
 うさぎや卵の飾り付けが為されたケーキが「本日限定!」とデザートのメニューに並ぶのを見てダビデが呟くと、ブーディカが「そう」と頷いた。
それから手際よく、ダビデのトレーに酵母の入っていないパンに羊肉、ニガヨモギの皿を乗せていく。
「はい、あんた達用の過越の祭の食事ね。ケーキはどうする?酵母は入ってないよ」
「それじゃあひとつ、いただくよ」
「了解」
 草むらから顔を覗かせる白いウサギの顔を模したカップケーキが置かれるのを見て、ダビデは目を輝かせた。
「これはまた可愛らしいね」
「褒めるならタマモキャットにね。カップケーキはあの子が頑張ったから」
「ああ、そうしよう……」
 ふと、ダビデは少しだけ遠い目をした。おや、とブーディカが見ていると、ダビデの唇が小さく動いた。
「……『ダビデの子』の復活を祝う祭、か」

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復活祭の日にTwitterに投稿したもの。
こちらに投げるのを完全に忘れていました……

そして姉達は妹の運動会へ行った(謎時空ゴルゴーン姉妹)

※カルデア外の現パロ系謎時空です。

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「……わざわざ、姉様方にご足労いただく程の物ではありません」
 二柱で一つの女神の大きな妹は、姉達に淡々とそう言った。
「ええ、明日は恐らく暑いですし、姉様方は家でお休みになっていらっしゃった方が……」

「……などとあの子は言っていたけれど、あの子の言う事を聞いてあげる理由なんてなくってよ。ねえ、(
エウリュアレ
)

「ええそうね(
ステンノ
)
、私達の目の届かない所で楽しもうだなんて、駄妹が随分生意気になった物ね」
 彼女らは、「運動会」という学校行事が開催されている、ごく一般的な高校の校庭に設置された観覧席……いわゆる「保護者席」の中でひどく異彩を放っていた。
 まるで彼女達のいる場所だけが、運動会開催中の校庭と言う日常の上に貼り付けられた非日常のテクスチャを凌駕して、地中海のリゾートもかくやといった煌めく空間に塗り替えられているかのよう。
 色違いの鮮やかなサマードレス、つばの広い帽子、大きなサングラスに日傘を差してさながらバカンスを楽しむセレブ姉妹といった様相を呈してはいるものの、首からは保護者証のカードが下がっておりその手には受付で貰った運動会のパンフレットがあった。
「次のあの子の参加する種目はいつかしら」
「徒競走ね。ああ、喉が渇いたわ」
「ドリンクをお持ちしました、ステンノ様!」「エウリュアレ様!」
 どこからともなく、女神達に魅了された男達が冷えたドリンクを差し出す。彼女らはそれを当然のように受け取りながら、どこか気だるげにパンフレットを眺めた。
 そう、彼女達はステンノとエウリュアレ。
 妹・メドゥーサの運動会を見に来ただけの、姉女神達であった。
「徒競走……ふふ。メドゥーサは体が大きいのだもの。レンジが違いますわ」
「そうね、きっと一番早いわよね」
「ふふふ」
「うふふ」
「ふふふふふ」
「うふふふふ」
 一方その頃、生徒席で髪にリボンを着けた女子生徒が、隣に座る眼鏡をかけた背の高い女子生徒の腕を引いた。
「ねえライダー」
「なんでしょう、サクラ」
「人違いだったらごめんなさい。あそこの保護者席にいるの……ライダーのお姉さん達じゃない?」
「……はい?」

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HF2章と7章舞台を同日に纏めて摂取して急にライダー陣営熱が高まったりカルデアのゴルゴーン姉妹が尊いという感情が昂って合体した結果が何故かこれです。
彼女らに幸あれ

カルデア小話「よくある話」(刑部姫と邪ンヌ)

「おっ、オルタちゃん支部更新してるじゃーん」
 刑部姫はいつものように自室のコタツでぬくぬくと、ネットサーフィンがてらサーヴァント専用イラストSNS・TMixivを眺めていた。
『二次創作ログ』というシンプルなタイトルのページを開く。更新主であるジャンヌ・オルタは、その繊細ながら勢いを感じさせる絵柄や幅広い漫画の作風から、つい最近TMixivを始めたにも関わらず人気絵師の一人である。
 刑部姫とてTMixiv古参とはいえ、彼女が熱意を持って初めての同人活動に挑んでいた事はよく知っているし、サバフェスが終わってからもこうして同人活動を続けてくれる事は嬉しく思っていた。
 オルタちゃん絵上手いしネタも面白いんだよねー、と刑部姫はウキウキとページを開き……数分後、顔を覆いながら呟いた。
「……ジュナカル以外全部逆カプ……」

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うちの刑部姫と邪ンヌ、基本的に仲いいけどたまに逆カプ戦争して欲しい……と思った結果です。
サバフェス面白かったです

カルデア小話「BasterTシャツ」

「見てくださいなマスター!ダビデ王が売り物だけど特別に、ってくださったの、バニヤンとお揃いで、ナーサリーやジャックとも色違いなんですって!お揃いって素敵ね!」
 そう言いながらアビゲイルが胸の前に抱き締めるその真っ赤なTシャツ。どことなく見覚えがあるような気がしてそのTシャツをよく見せてもらうと、胸の部分にはっきりこう書かれていた。

 Baster。

「今からお揃いを着て皆で遊ぶのよ!」
「そう、楽しんで来てね」
 ととととと、と元気良く走っていったアビゲイルを見ながら、藤丸は呟いた。
「ここであれ売ってるのあいつだったんだ……」

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アビゲイル幕間がとても良かったのと復刻水着ノッブ引けた記念。

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