一期の円盤6巻ドラマCDネタ。
直帰の空閑と年末年始くらい直帰しろ虎石。
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陽が沈んでから寮を出発したものの、どうにか雪が積もる前に実家に到着することが出来た。帰宅するなり湧いている風呂に入るように言われたから肩まで浸かって、母さんと一緒に年越しそばを食べて、大晦日の歌番組を少しだけ見て、歌番組が終わるとカウントダウンコンサートにチャンネルを合わせた。
正直すでにかなり眠かったが、どうにかカウントダウンが始まるまで起きていることに成功した。年が変わると同時に母さんと「あけましておめでとう」を言い合って。で、いい加減眠気が限界だったので、母さんの「もう寝たら?」という言葉に甘えさせてもらい、さっさと寝ることにした。
さて寝るか、と布団に潜り込もうとしたところで、机の上に置いたスマホが通話着信を示すアラーム音を鳴らした。誰だこんな時間に、と思ったが、こんな時間にわざわざ電話を掛けて来るような奴の心当たりは一人しかいない。
電話を取る。
『よォ~~~~愁~~~~!あけおめ~~~~!』
途端に耳に飛び込んできた、ひどく浮かれた声。後ろからは人のざわめき声となにやらしゃかしゃかと音楽のようなものが鳴っている。どこにいるんだこいつは、と思いながらも「ああ、あけましておめでとう」と返す。
すると「えへへ~」と、締まらない笑顔が容易に想像できる笑い声の後、「な~愁~、初詣行かねえ~?」というこれまたひどく締まらない声でそう言って来た。
「それは寮で聞いた」
『そ~だっけ?』
「つか今どこにいるんだお前」
『オネエサンのお友達っつーか、女友達の家でパーリーしてんの』
どこから突っ込めばいいのか分からないが、割といつものことだからまあいい。酒が入っている……というわけでもなさそうだ。こいつはたまに素面でこういう異常に締まらない声を出す。
「寝ようとした時に電話してくんな」
『えっマジ~?悪い悪い』
「あといい加減女遊びも大概にしろ」
『なんだよソレ~、新年早々説教かよ~。あ、明日昼過ぎにお前ん家に迎えに行くから。じゃな!』
言うだけ言って、ブツリ、と電話が切れる。
明日じゃなくて、もう今日だろ。
そう思ったがすぐに抗えない眠気が体の奥底から襲って来る。布団を敷いておいてよかった。
そういや、年が明けて最初に声を聴いたのが虎石ってことになるのか。
何故だか、それを思って頬が緩んだ。