イベント続編大作戦・グループAのぞミラ支援SSまとめ

アスランと部下の雨彦編

「アメヒコよ、随分手間取ったようだな?」
遥か頭上より届いた全身に畏怖を抱かせる声に、アメヒコは長い足を畳み膝を付いた。
「はい、アスラン様。あのピエールとかいう魔法使い、想像以上の力を秘めていた上にあの輝関のぞみもおり、苦戦を強いられたのは事実。しかし先程の戦いで底は見えました。次またアスラン様の進む道を遮るようであれば確実に仕留めてご覧にいれましょう」
「ほう……期待しているぞ」
「はい」
姿は見せねども確かにそこにいる主に、アメヒコは静かに答える。だがその目は憧憬と崇敬で煌めき、狐の耳と尻尾がふわふわと揺れる。
「クク……可愛い奴よ」
轟、と風が渦巻く。アメヒコがハッとして顔を上げると、漆黒の風の渦の中からマントに身を包み大きな角を生やした美丈夫が姿を現した。
異なる色を宿した瞳が怪しく光る。黒いマントはアスランの魔力による風ではためく度に黒、紺、紫と少しずつ色を変えながら煌めき、まるで銀河をその身に纏っているようであった。
そしてその肩では、小さくも禍々しき異様を誇る『サタン』がアスランと共にアメヒコを見下ろしている。
ああ、我が主!禍々しくも麗しき我が主!
主の威容に打ち震えるアメヒコを見て、アスランは目を細めたのち両手を大きく広げた。
「光の魔法使いなど、この世界を幸福な闇で染めんとする我らへの小さな試練に過ぎぬ。共に覇道を往こうではないか、アメヒコよ!」
アスランの放つ膨大な魔力の渦は風となって高く天に届き、漆黒の空に雷鳴を轟かす。
アメヒコは再度、深く頭を垂れた。
「我が主の仰せのままに」