※ヒカルと美鈴が結婚してる
「それで、今回はどこまで行くの?」
「すっげえでかい花が咲いてる星があるって聞いてさ、そこまでは行ってみようかなって」
「相変わらず曖昧だね」
「どうせいっぱい寄り道するから、それくらい適当でいいんだよ」
「もう、幾つになっても相変わらず」
「分かってるじゃん」
「分かってなきゃ結婚なんてしてません」
「はいはい、いつもありがとな」
「自分の30の誕生日にはちゃんと帰ってくること、覚えててね」
「それ友也も言うんだけどさあ」
「ろくな連絡もなく年単位で家に帰って来ない人には、複数人で帰りの期限を念押しして外堀を埋めろってサクヤちゃんが言ってたもん。ショウくんから聞いたけどタロウにも怒られたんでしょ?」
「ああもう分かった、ちゃんと帰って来るから」
「……絶対だよ」
「……うん、絶対帰って来る。俺の居場所はここだから」
「ちゃんと帰って来なかったらハイキックだってマナが言ってたよ」
「あいつたまに俺に厳しくね?」
「気のせいじゃないかな」
「気のせいかなあ……まあいっか。それじゃ、行って来る」
「うん……行ってらっしゃい!」
この星には、二人のウルトラマンがいる。
ウルトラマンギンガと、ウルトラマンビクトリー。
ビクトリーは年に数度、その姿を現す。
一方でギンガはこのところ、年に一度姿を現せば良い方となっていた。
ギンガはどこに行っているのか、市井は憶測を交わす。
宇宙へ帰ったのだ、ビクトリーに地球を任せているのだと。
最愛の人が旅立ったばかりの青空を見上げる彼女は、知っていた。
彼は今頃、広い宇宙の中で星から星を駆け巡る冒険に明け暮れているのだと。
「……ほんと、いつまでも変わらないんだから」
「ウルトラマンギンガ」になったあの時から、彼は何も変わっていない。年齢を重ねて少し落ち着きが出て来たようにも見えるが、彼女の目に映る彼は、いつまでも変わっていなかった。
帰って来る度に、初めて宇宙から地球を見た夜と変わらぬ笑顔と輝く瞳で、彼は自らが見たものを語る。
そしてまたすぐに、次の冒険へと旅立つ。
ここ数年、この地球への滞在時間は最短18時間、最長1ヶ月。
最短不在記録は1週間で、最長不在記録は2年にもなる。その間ろくに連絡も寄越さず、彼よりも地球にいる時間が長い彼の相棒が流石に決まりの悪い顔をしながら人伝ての伝言を寄越してくるだけのこともしばしば。これでも伝言を寄越してくるだけマシになったのだ。
甲斐性の無さにも程度というものがある……とは、共通の友人達の評。それには彼女も全くの同感であった。
故に、礼堂美鈴は少しだけ、宙に向かって口を尖らせる。
「私じゃなきゃとっくに愛想尽きてるんだからね、ばーか」
美鈴にはいつまでもヒカルさんが帰る場所であって欲しいんだなあという。ヒカルくんさん28歳の誕生日&ギンガ無印11周年おめでとうございます。